美しきブロックプリント

紀元前後にはすでに存在していたという、「インド更紗」。

15世紀に大航海時代が訪れると、インドネシア、タイ、ヨーロッパ、そして日本など、世界中に広まりました。そのインド発祥のテキスタイル「更紗」は、木型のブロックで木綿布に染色する技法で作られており、インドでは英語で「block print」(ブロックプリント)と呼ばれています。

ブロックプリントは、インド・ラジャスタン州が主な産出地で、その中でも特に有名なのが、ジャイプール郊外にある“バグルー村” で作られている「バグループリント」です。村の人々は数百年の長きに渡り伝統技法を守り、今なお美しい木綿布を作り続けています。

今回はその更紗原点とも言える「バグループリント」についてご紹介したいと思います。

バグルー村にはあちこちに広い敷地と小さな工房が点在しています。木版、プリント、染めなど、仕事ごとに工房が分かれています。

まず、木版工房でプリントに欠かせない版が作られます。木の板から一番彫りやすい部分を選定し、ブロックの大きさにカットします。そして図案の色ごとに型紙を作り、カットした木に模様を転写し、その線に沿って手作業で模様を彫って木版にしていきます。

木版に使用する木は、シーシャムという木やチークウッドが使われています。木版には小さな穴が掘られており、これは木版を押した時に空気が抜けて綺麗に色がのるように工夫されているそうです。


おおよそ1 週間程度で、色ごとの木版ができ上がります。

でき上がった木版はプリント工房に運ばれ、いよいよ生地にプリントです。工房内には長い作業台並んでおり、その上には数十メートルにも及ぶ木綿地が敷かれています。職人さんたちは、ベースとなる木版から染料を付け、テンポ良くスタンプのように連続模様を埋め尽くしていきます。

染色には100%天然由来の染料が使われており、インドの人は、天然染色のことを「ベジタブルプリント」や「ベジタブルダイ」と言います。実際、使われているのは野菜ではなく、藍やターメリックといった草木が使われています。
数十メートルの布を天然染料、手作業で同じ色味に仕上げていくのは至難の技ですが、職人さんたちは、日照時間や、気温、湿度によって、そのつど染料の配合を変え、色味を調整しているそうです。


始めはパネルラインからプリントします。

ぽんぽんハンコを押すように染色していきます。

テンポ良く見る見るうちに模様で埋め尽くされます。

慣れた手つきで、小気味いいリズムを刻む職人さん。一回ごとに染料をつけなおし、位置をピッタリと合わせて、ギュッと押すことを繰り返す。

数十メートルにも及ぶ布は、あっという間に花や幾何学模様でいっぱいになります。ブロックを重ねるごとに独特の表情のある風合いが生まれ、人々が愛してやまない美しい生地になるのです。


細部をプリント。

ブロックをが重なる部分には紙を敷いて防染します。

あっという間に完成です。

プリントされた生地はお風呂のような洗い場で、水洗いします。ジャバジャバと色落ちがある程度なくなるまで。そして最後に干す作業です。

乾燥機でも物干し竿でもなく、広い敷地の地面の上に直接布を広げて、太陽の光で布を乾かす。太陽に当てることで、染料が落ちにくくなるそうです。数十メートルの大きな一枚布を何枚も地面に広げて乾かす風景は圧倒的で、染料と土の香りが漂ってきます。

こうして、すべてが手作業で、沢山の人々の手に渡り、精魂込めて作られた素敵な生地が仕上がります。生地からは、人々の人間らしさ、温かさが伝わってくるようです。

生地によく見られるかすれや滲み、柄のずれは、インドの手仕事の素朴な温かみの現れです。

数百年の間、無くなることなく作り続けられてきたバグループリント。その理由は生地からあふれ出す魅力の中にあるのではないかと思います。

工程のすべてがハンドメイドの大変手の込んだ素晴らしい布のお洋服をぜひお楽しみください。

インドバグループリントの商品は、一部店舗を除く全国のマライカ、または、公式オンラインショップでも販売しております。

公式オンラインショップ/バグループリント

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